今まで普通に取り組んでいた仕事に対して、急にやる気が起きなくなってしまったり、関わりたくなくなってしまったという経験はありませんか?
もしかするとそれは「燃え尽き症候群」によるものかもしれません。
仕事における燃え尽き症候群は、仕事に関連した特殊なストレスの一種であり、達成感の減少や個人のアイデンティティの喪失を伴う肉体的または精神的な疲労状態を指します。
最近では働き方改革の文脈でどうすれば従業員が最も生産性が高く、かつ、有意義に働けるのか、という議論が多くなされる中で、「燃え尽き症候群」について、耳にする機会も増えました。
しかし、この「燃え尽き症候群」は医学的な診断名ではありません。
専門家の中には、燃え尽き症候群の背景には、うつ病などの他の疾患があると考える人もいます。
研究者たちは、当事者の性格や家庭環境などの個人的な要因が、燃え尽き症候群に影響すると指摘しています。
原因が何であれ、仕事の燃え尽き症候群は、心身の健康に影響を及ぼします。
自分が燃え尽き症候群になっているかどうかを知る方法と、その対処法について考えてみましょう。
Contents
仕事の燃え尽き症候群の症状
燃え尽き症候群にはいくつか代表的な症状があります。
もしかすると気づかないうちに燃え尽き症候群になってしまているかもしれません。
次の質問を自分自身に問いかけてみましょう。
仕事中に皮肉っぽくなったり、批判的になったりしていませんか?
仕事に行くのが億劫になり、なかなか仕事を始められないことはありませんか?
同僚、顧客、取引先に対してイライラしたり、焦ったりするようなことはありませんか?
常に生産的であるためのエネルギーが不足していると感じませんか?
集中するのが難しいと感じていますか?
仕事から達成感が得られませんか?
自分の仕事に幻滅するようなことはありませんか?
気分を良くするために、あるいは単に気分を害さないために、食べ物、薬物、アルコールを使用していませんか?
睡眠の習慣が変わりましたか?
原因不明の頭痛、胃や腸の不調、その他の身体的な不調に悩まされていますか?
これらの質問のいずれかに「はい」と答えた人は、仕事の燃え尽き症候群を経験しているかもしれません。
これらの症状は、うつ病などの健康状態と関連している場合もあるので、医師や精神科医に相談することも検討してください。
日本人は控えめに見積もっても5人に1人は一生の間に何らかの精神疾患にかかると考えて良いそうですが、身近で精神科にいったという話を聞いたことがないという方も多いかと思います。
病状が悪化する前に受診を検討してみるのも良いかと思います。
燃え尽き症候群の原因
うつ病などの精神的な病気と関連していうとも考えられている「燃え尽き症候群」ですが、そもそもそなぜ起きるのでしょうか。
仕事の燃え尽きは、以下のようなさまざまな要因によって生じる可能性があります。
コントロールの欠如
自分の仕事に影響を与える決定事項(スケジュール、割り当て、仕事量など)に影響を与えることができないと、仕事の燃え尽きにつながる可能性があります。
また、仕事をするために必要なリソースが不足している場合も同様です。
常に予定に押しつぶされそうになっている方や他人の仕事を断れない方は注意が必要かもしれません。
自分の仕事への期待が不明確
自分に与えられている権限や上司や他の人が自分に何を期待しているのかが不明瞭だと、仕事を快適に感じることができません。
上司から不明確な指示を受けることに心当たりがある方も多いかと思いますが、ストレスを感じるというだけでなく、仕事の生産性も落ちてしまいます。
そのようなことが続くと目的を持って仕事に向き合うことができず、燃え尽きてしまうかもしれません。
不健全な職場環境
職場のいじめっ子と一緒に働いていたり、同僚から見下されていると感じていたり、上司に過剰に仕事を管理されていると感じているとストレスを抱える原因になります。
自分はいじめられていないから大丈夫と思っても一緒にいる人が他人の悪口を言うような人だとその人のことを心から信じることができなくなってしまうので、結局疑心暗鬼に陥ってしまいます。
一緒にいると悪影響を受けてしまうと感じる人はできるだけ避けたり、その人の心ない言葉を間に受けないというような工夫が必要かもしれません。
過度な活動
仕事が長時間取り組まなければならないものだったり、集中力を維持するために常にエネルギーが必要なものの場合、疲労や仕事の燃え尽きにつながる可能性があります。
また、特に集中している時や一つのことだけをやりたいと感じているときは自分の精神的な負担が大きくなっていることに気づかないことも多いです。
意識的に30分や1時間くらいに1回は5分程度の休憩を挟むことで集中力を保ち、燃え尽きを防止することができます。
社会的支援の欠如
職場や私生活で孤立していると、ストレスを感じやすくなります。
自分では1人が好きと思っていても四六時中1人でいるとストレスを感じやすくなってしまいます。
仲の良い友人や家族の存在、そのような人たちとの交流はストレスを軽減するために役立ちます。
自分の身の周りに気を許せる人がいないか振り返ってみましょう。
ワークライフバランスの乱れ
仕事に多くの時間と労力を費やし、家族や友人と過ごすエネルギーがない場合、すぐに燃え尽きてしまう可能性があります。
会社から与えられた仕事量が多すぎてプライベートも休むことができないという方は注意が必要かもしれません。
常に仕事のことを考えたり、作業をしなくてはいけない状況は精神的に良くない影響を与えるだけでなく、仕事の生産性も劇的に下げてしまいます。
また、中には仕事がすごく好きという方もいらっしゃるかと思いますが、どんなに仕事が好きだといってもずっとそのことばかり考えていては脳が休まることがなく、いずれ疲弊してしまいます。
プライベートでやりたいことを見つけたり、人生の目標をたてて、そのためにプライベートの時間を使うなどの意識を持つことで、この状況を回避できます。
また、瞑想や軽い運動などを行い、定期的に仕事のことから離れることができる時間を作ることも大事です。
燃え尽き症候群のリスク要因
仕事の燃え尽きには、以下のような要因が考えられます。
仕事量が多く、長時間労働をしている
ワークライフバランスに悩んでいる。
医療機関など、人を助ける職業に就いている。
自分の仕事をほとんど、あるいは全くコントロールできないと感じている。
仕事の燃え尽きがもたらすもの
仕事の燃え尽きを無視したり、対処しなかったりすると、以下のような重大な結果を招く可能性があります。
過度のストレス
疲労感
不眠症
悲しみ、怒り、イライラ
アルコールや物質の乱用
心臓病
高血圧
2型糖尿病
病気にかかりやすい
燃え尽き症候群への対応
積極的に行動してみましょう。
以下の行動から始めてみることが良いとされています。
自分の選択肢を評価する。
上司と具体的な懸念事項について話し合うことが大事です。
もしかしたら、期待値を変えたり、妥協や解決策を得るために一緒に働くことができるかもしれません。
やらなければならないことと、待ってもいいことの目標を設定してみるのが効果があります。
サポートを求める。
同僚や友人、恋人に相談しても、サポートや協力があれば、対処できるかもしれません。
また、従業員支援プログラムを利用できる場合は、関連するサービスを利用する。
リラックスできる活動をする。
ヨガ、瞑想、太極拳など、ストレス解消のためのプログラムを検討する。
運動をする。
定期的に体を動かすことで、ストレスにうまく対処できるようになります。また、仕事に集中することもできます。
睡眠をとる。
睡眠は幸福感を回復し、健康を守るのに役立ちます。
マインドフルネスを行う
マインドフルネスとは、呼吸の流れに意識を集中し、解釈や判断をせずに、自分が感じていることを常に強く意識することです。
仕事の場面では、判断せずに、率直に、忍耐強く、状況に向き合うことがこの練習になります。
選択肢を検討するときは、心を開いてください。厳しい仕事ややりがいのない仕事で、健康を損ねないようにしましょう。
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